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絢爛舞踏祭

第1回「火星前史」
火星という惑星が、絢爛舞踏祭の舞台である。
地球から一番近い惑星で、地球よりかなり小さく、そして、冷えている。
地球の平均気温は−4℃ほどだが、それと比較して−55℃と言えば、お分かりになるだろうか。
この寒い星は、月に続いて身近なこともあり、人類の伝説や物語に、たびたび登場してきた。

知られているところではマーズ、戦いの神の星とされ、接近時には戦争が起きると、占星術で言われ、HGウェルズの火星人襲来ではタコみたいな火星人が敵役で出てくるし、運河があるといわれて天文観測ブームを招いたりした。

半径は地球の半分ほど、質量は10%。重力は0.38倍と、地球と比べると随分小さな惑星である。
この寒い星はどういう見方をすればそうなるのか、地球に良く似ているとされ、手ごろな植民地として研究者達の注目を集めた。

火星の地球化改造(テラ・フォーミング)
火星の大気は地球の100分の1以下の密度しか保持していない。
つまり、薄いのである。
火星を植民地にしようとした人々の多くは、薄い空気、水、そして低温を解決するために様々な技術的可能性を検討した。
そのうち水の問題は、すぐにも解決した。火星に水があるらしいということが、丹念な観察といくつかの探査機によって、分かったのである。
正確には火星に水があるというのが分かったために、火星を植民地にする可能性がにわかに高まったと、言ってもいい。少なくとも問題の一つはこれで解決したわけだ。

多くの研究者が最初に考えたのは、何らかの技術的手段で火星の環境を地球化することだった。これを、惑星の地球化改造(テラ・フォーミング)と呼ぶ。

そして、現実的でないと分かった。
わざわざ試算するほどの事でもないと思うが、真面目に考え、そしてやっぱり、駄目だという結論に達したのである。
火星産の水を電気分解して酸素を作り、温室効果の高いフロンガスをどんどん火星に放出してやれば、まあ、息をする程度には地球に似た感じになるのだが、そのコストや手間が、文字通り天文学的数字だったのである。

それでも人類はめげず、次なる手法として提出したのが、ドームの建造である。
なんのことはない。地面にへばりついた宇宙船という考え方だ。
これはこれで現実的ではあったが、ドーム都市で生活するためのコストを計算した結果、次なる挫折を覚えることになる。
やっぱり高い。 だから、試算するほどじゃないと素人は言うかも知れないが、まったくその通りである。

そりゃ行くためのバス代だけで考えても、地球のどこかよりも随分高いのであるが、これにドーム都市の建造のお金と来れば、それだけのお金かけるよりも地球環境を良くした方がいいんじゃないの?ということになったわけだ。

火星の地球化改造は、ここに挫折してしまった。




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