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絢爛舞踏祭

第8回「火星入植」
まずBALLSが耕した太陽系に、知類が入植するという形が出来たのはBALLSの数が20年で2兆を越えたあたりである。

月に続いて軌道都市が建設され、さらに続いて火星と金星、外惑星がターゲットになった。
同時に宇宙開発しても、たいして問題がないくらいに太陽系の、というよりもBALLSの生産能力は充実を見せていた。

資源のあるところに100機だか着陸すれば、それが瞬く間に10万やもっと多くのBALLSになって資源化し、建造物を作り出すのである。

地球側でない太陽の面に巨大な反物質生成工場が作られ、太陽のエネルギーを、光や熱を受け止めて直線加速器を稼動させはじめた。
BALLSの中に反物質が封じ込められ、エネルギー源になったのはこの頃である。

反物質とは回転モーメント、あるいは電荷が反転した粒子や、物質のことである。その様が鏡に映った像に見えるので鏡像物質とも言う。
物質と反物質が反応した場合、その静止エネルギーの全部が電磁波などの形で解放される(対消滅という)ので、エネルギー源としては非常に効率が高い。

この反物質を効率よく開発する手法は当時においても発見されていなかったが、BALLSはこれを工学的に解決した。
つまり、沢山工場をならべて解決したのである。BALLSの持つ莫大な生産能力は、少々の効率のよしあしを、完全に無視することが出来たのである。

反物質工場から順調に反物質が生産されるようになると、今度はこれと水を反応させて推進剤(宇宙船の燃料)にしようという考えが、広がった。

そして実行された。
もちろん地球から水を打ち上げるのは面倒が過ぎる。ありていに言えばコストが高い。
が、しかし、地球と比べればずっと打ち上げコストが安い、質量の小さな星があるではないか…

水の星、火星である。

質量は10%。重力は0.38倍となれば、打ち上げコストはかなり安くなる。
BALLSやAI出身の知類は共同で試算し、火星に大きな軌道エレベータとマスドライバーを配置する。

こうして、さらなる宇宙開発を見据えて開発と入植がはじまることになった。
主導したのは、アメリカ東部出身の裕福な白人層(厳密には元白人で元人間だ。当時ではもう、少なくとも地球では種族的な差は趣味の差程度の意味しかない)である。
彼らを、マワスプと言う。彼らは火星を第2のアメリカにすべく、強く念じていた。

マワスプに続いたのは、アメリカ南部の宗教団体であり、彼らは今も火星に名前が残るユートピアの建設をはじめた。

こうして火星入植と開発は始まるのである。




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