−希望が来る、希望が。
この世界に、火星に希望が現れ、祭りが始まる−。
火星の海に沈む、巨大な都市潜水艦…都市船エリダニアで、
ある水資源会社で一隻の船が建造された。
それは、火星の夜明けを待つ人々によって造られた。
−「夜明けの船」である。
この艦は、英雄の船。
人々に自由と希望を知らしめるために、
今まさに火星の海へ旅立とうとしていた。
「今日からコイツが、我が家になるね」
エリザベスが腕を組んで艦を見上げた。
「ポンコツの寄せ集めだろ…。
本当に、この船で太陽系総軍にケンカ売ろうってのか?」
アキが片眉を上げて、口を尖らせた。
ヤガミが黄色いジャンパーに袖を通しながら口を開く。
「ケンカを売るわけじゃない。独立をしようとしているだけだ。
それに、中古だろうが新造だろうが関係ない。
要は、扱う者の能力次第だ」
「ふーん、俺達だけでか?」
「そうだ」
エリザベスが、瓶ウィスキーを一気に飲み干した。
「さあ、処女航海だ。行くよ。」
「了解、艦長。」
ヤガミが淀みなく答える。
アキが素っ頓狂な声をあげた。
「艦長?このオバハン…、てっきり料理長だと…!?」
「…彼女は、元宇宙総軍大佐だ。」
「いいっ!?…〜く、何で先に言わないんだよ、ヤガミ!!」
「今、教えただろう。別に隠すわけじゃなかった」
エリザベスが、荷物を担いで艦のタラップに足をかけた。
「ガハハハ、そりゃ大学の寮母をやってる時があったからね。
そう見えたってしょうがないさ。
おら、アキ。残りの荷物も積んどくれ。」
唖然とするアキに、エリザベスがウィンクを送った。
「ヤガミ、行き先は都市船オリンポス、だね?」
「そこには共に戦う同志がいる。
そして、これから現れる希望にふさわしいRBが出来ているはずだ。」
エリザベスが白い歯を見せて笑う。
「火星に黎明の光を!!さあ、出港だよ。」
「了解!!」
ヤガミとアキがエリザベスに続いた。
「目標、都市船オリンポス」
夜明けの船のハイドロジェットが駆動する。
それはまるで、主を迎え入れた喜びに打ち震えたようだった。
夜明けの船が今、火星の海へと旅立っていく。
火星独立軍、戦いの幕開けである。
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