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「で〜た〜、死神定食〜…」
食事を受け取った、タキガワが顔を歪めた。
死神定食。残飯その他に加工処理を施し、
何とか食用にこぎつけた料理である。
これが配給される時は、艦に食材が無い事を意味するのだ。
全く箸が進まないと言った様子で、フォークでぐちゃぐちゃと料理をいじる。
香ばしいというには程遠い、コゲた匂い。芳醇とは言い難い腐臭。
それでも空腹には勝てない。覚悟して、鼻をつまんだ。
なるべく舌に乗せないように、喉の奥へ料理を放り込む。
「うー、ううぅぅぅぅぅう!?」
隣で死神定食を口にしたアキが、両手で口を塞いで呻いている。
まるで、口から魂が抜けていかないように。
死神定食が配給されると、食堂ではそんな光景を見る事が出来る。

「も、やだ〜…、地球に帰りたいよ」
タキガワは、故郷のお好み焼きを思って涙を流した。
「だったら、地球に帰ればいいじゃない」
横に座って、食事を始めるマイケル。
「寝る所、食べ物があるだけ感謝しないとね。火星先住民には、恵まれすぎた境遇なんだよ」
「…でも、食えないよ。つうか食い物じゃねぇよ!」
「じゃあ、地球に帰ったらいいさ。君の機体はもらうよ。代わりにパイロットになるし」
もくもくと食事をとるマイケル。
眉間にしわを寄せながら、一口、また一口と放り込む。
「ン…何をぉ!! お前なんかに俺の機体は渡さねーよ」
こうして取っ組み合いが始まる。
2人にとっては日課のようなものだ。

そして…、
「このバカチンが!!食堂で騒ぐんじゃないよ」
決まってネリの雷が落ちる。
「マイケルが生意気なんだよ」
「最初はタキガワが…」
マイケルの言葉に間髪入れず、二度目の落雷。
「食堂で騒ぐのが悪だ! 不味い飯が、もっと不味くなるんだよ!」
ネリが、二人の耳をつまんで引きずった。
「外でやんな。アンタらのメシは、アタイが没収だ」
二人廊下に放り出され、食堂のシャッターが閉まる。
二人は、ぽかーんとシャッターを見つめた。
「没収だって…死神定食」
「食うのかな…、あのババー」
「ネリだったら、何食べたって大丈夫そうだね」
マイケルのあっけらかんとした言葉に、タキガワが「プッ」と吹き出した。
そして何事も無かったように、いつもの仲直りになるのである。
「うーぅうあああぁぁあ!!」
食堂からは、アキの呻き声がいつまでも響いていた。


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