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第2回「知類の誕生」
火星の地球化改造が当面の間、人類にとってはほぼ無期限に挫折したのは21世紀も最初のほうである。
その後も何度か探査計画はもちあがったが、いずれも学術調査以上のものにはならなかった。
が、しかし。その後、火星の地球化改造の追い風が、ゆっくり吹き始めることになる。
それは技術革新と言う名の風であった。
○知類の誕生
人類の技術発展は進み、そのうちバイオテクノロジーが、猫娘をつくったりチェスをうつ犬を作ったり、海洋牧場のカウガールがわりのイルカが生まれたりした。
バイオから目を移せば高機能ロボットはついにメイドロボットになり、恋人ロボットになり、警官ロボットなりが生産されはじめた。
そりゃもちろん反対もあったが、まあなんだ。猫娘には、需要があった。
変り種もあった。身体を持つわけではないが、人工知能やサイボーグである。
化学物質レベルで脳をエミュレートした人工脳は2050年代に作られ、そのうち10年でパーソナル化し、死んだ、あるいは死にそうな人間がコンピュータに転写されたり、そもそも最初からAIだったりする存在が生まれ始めた。
体の欠損を代替品で置き換えるサイボーグやクローニング技術はかなり前からあったが、これがついに全身を入れ替え、脳まで入れ替えちゃったのは2070年代である。
こういうのが生まれだして問題になるのは人権である。当時は沢山、悲惨な境遇のロボットや動物出身の種族がいた。
人類に、というか我々の良心にとって幸いだったのは、猫娘の誕生には諸手をあげて賛成しても不幸な猫娘は看過しない人達が大勢いたと言うことである。
きっと、これを読む人々の孫やひ孫達がそうに違いない。
生まれた頃からそういった物達にかこまれて生まれた世代は大人になり、そして旧世代との大激戦の末に、当時万物の霊長を名乗ってた(新)人類は、かなり思い切った手段に出た。
人類に準じる地位を全員に与え、万物の霊長の立場から、自分から降りたのである。
こうして人類は自ら望んで皆を引き上げ、そして生まれた言葉が、知類である。
人類という言い方が通じにくくなったり、差別的な意味で取られるようになって、知類という言葉は、人類という言葉にかわって広く使われるようになった。
例えば当時好んで使われたスローガン、<知類は皆兄弟>である。
これは大昔の焼き直しの言葉だが、当時の大勢の人々は、好んでこの言葉をつかった。
(彼らのご先祖である作者が見たっていい言葉だぞ。えへん)
さて、自分達の行いを、知類は喜び、自分達の生きる時代を「ゴージャス・タイムズ」(絢爛時代)と名乗り、それまでの時代を「ロンリー・タイムズ」(寂しい時代)と言い出した。
これにはもちろん、当時を生きた人々のゴージャス・タイムズはいいぞーという可愛い自慢がたぶんに入っている。
いろんなものと共存することを自慢するかわいい時代。
絢爛舞踏祭のシリーズは、このゴージャス・タイムズ以降を舞台にする物語・ゲームである。

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